庭とスコア
引き出しの整理をしていたら、スコア(楽譜)のコピーがでてきました。
むかし、友達とバンドを組んで、さまざまな音楽を演奏していました
(演奏、というより実験、でしたが)。
その後、庭にかかわる仕事をするようになったのですが、時に、そもそも庭って
何だろう?と迷うことがありました。
長いあいだかかって、ようやくかたちになり始めた答えがあるのですが、
それは、むかし親しんだ即興演奏の方法論と近しいことに気づきました。
たとえば、(いわゆるビバップまでの)ジャズは、ひとつのメロディ(テーマ)を
ちいさなかたまりごとに切り分け、それを記号(コード)として表象させることで、
もとのメロディの構造をいったん概念的なモノに引き上げます。
そのうえで、演奏者はコードという概念のなかで、ふたたび、こんどは自分なりの
メロディを展開します。
すばらしい演奏からは、もとのメロディの本質と、演奏者の本質、そのどちらもが
感じられます。
庭においては、いつも「自然」がおおきなテーマなのですが、だからといって、
たとえば自宅の空間に「自然」をそのまま持ち込んだとして、はたしてそれは
「庭」なのだろうか?と思うのです。
「庭」もまた、いったん「自然」を概念(コード)に還元したのち、あらためて
組み直す、モノだと僕は考えます。
そしてそうすることで、「庭」はより「自然」の本質を表現できるのだと感じます。
そこには同時に、施主や作庭者の想い、も現れているはずです。
ちょっと怖くもありますが、庭をつくるよろこび、ってきっとそういうことなのでしょう。
ふるいスコア、なつかしい。
あのころのみんな、元気かなぁ。